魔法少女プリティ・ベル
評価:A+
カテゴリ:一般漫画(それにしてはエロ多め)
ジャンル:魔法少女ものに見せかけた政治批判漫画
著者:KAKERU
おそらく世界で最も酷いタイトル詐欺漫画。
魔法少女漫画らしい表紙に反し、主人公はマッチョで色黒なボディビルダーという反則。
「少女」でもなければ、「プリティ」さも皆無である。
ムキムキなアニキが魔法少女が謎の怪光線を出し、怪人と死闘を繰り広げるバトル漫画。
・・・と最初のうちは思えるが、だんだん作者の本性が現れたのか、話がどんどんあらぬ方向へ進んでいく。
ファンタジー世界の代名詞とも言える魔王達が世界を治めているのは普通だが、彼等は全員高度な「政治家」であり、「国民の生存と繁栄」のために日夜駆け引きに勤しんでいる。
そこにプリティベルや世界の崩壊を目論むナイアラトホテプが割り込み、民主主義の欠陥や大衆の過ち、軍事力の必要性等を指摘しながら物語が展開していく。
圧倒的な現実目線と鼻に付くほどに押し出された政治思想は酷く強烈で、そのインパクトはかの「魔法少女まどかマギカ」すら遥かに凌ぐ。
「魔法少女オブジエンド」
「魔法少女(フリゲ)」
「魔法少女プリティ・ベル」
これらの作品のせいで魔法少女の偶像は完全に崩壊しており、常に血なまぐさいイメージが付きまとっている。
どうしてくれるんだ、コレ。
同著者の作品である「天空の扉」「悪の組織ダークドリーム」同様既存の作品に対するアンチテーゼ色が強く、それ以上に現在の政治体制に対する強い批判が込められている問題作。
成年誌以上の露骨な色気描写や登場キャラクターに対する過度な賛美など気になる点は多いが、著者の圧倒的な知性は読み手に多くの物を与えてくれるだろう。
実際にエセ賢者は多くの物を学ばせて頂いた。
殆ど魔法少女していないが、間違いなく世界最高の魔法少女作品である。