二次元桃源郷(アニメ、漫画、ゲーム感想)

作者に配慮した生温いレビューは要らん!駄作は駄作と言え!

盾の勇者の成り上がり 評価A- 外道で王道な異世界勇者物語

カテゴリ:Web小説→一般漫画

ジャンル:異世界召喚ファンタジー

特徴:ひねくれているようで純粋なサクセスストーリー

 

 

リゼロや無職転生、ググレカスなどと同じよくある異世界召喚勇者活劇。

ただ他の作品と比べるとかなり長編であり、世界観にもキャラにも厳しい描写が多い。

特に主人公が初期に置かれた境遇が悲惨であり、その後の成り上がりっぷりはタイトル通り強烈。

勇者→犯罪者→奴隷使い→王女誘拐犯→真の勇者→領主→伯爵→大公→神

 

一切攻撃できない盾の勇者など邪道な設定が多いのも特徴。

 

・普通の勇者は酒場で仲間を集めるが、盾の勇者は奴隷商人から購入する

・普通の勇者は自分で敵を倒すが、盾の勇者は奴隷に倒させる

・普通の勇者は敵を改心させるが、盾の勇者は公開処刑する

・普通の勇者は戦闘で仲間を鍛えるが、盾の勇者は人体改造で強化する

・普通の勇者は仲間を信じているが、盾の勇者は人間不信

・普通の勇者は勇気を力に変えるが、盾の勇者は憎悪を力に変える

 

こう書くととんでもない設定に見えるが、性根は正義感の強い主人公であるため、他の異世界もの以上に王道な勇者ストーリーになっている。

 

犯罪者扱いされた所から奴隷の少女(ラフタリア)とともに這い上がる序盤は、間違いなく面白い。

リアルな世界観に反してゲーム性に特化した成長システムで、次々と新しい能力に目覚めていく展開も面白い。

 

しかし、長い。長すぎる。

Web版だと本編だけで379話もあり、外伝を含めると倍以上ある。

読むだけでも相当な苦痛だった。

 

長くても密度の高い話なら良いが、何でもかんでも描写しようとして冗長になっている感が強い。

増え続ける仲間と広がり続ける成長システムが、途中から完全にオーバーフローしている。

 

最初は2人だったパーティが無限に増加を続け、途中から村全体になっていた。

最初は4人だった勇者が途中から11人になり、最後は20人以上になっていた。

最初は一つだった武器強化システムが勇者の数だけ増えていった。

 

あらゆるゲームの要素を追加した結果、収拾が付かなくなっている。

最終的に手に入れたスキルや装備は、軽く百を超えているだろう。

 

作品自体は面白いが、延々とやりこみゲームみたいな強化を見せられるため、Web版を読むことはお勧めしない。(書籍版も)

無駄な描写を極力排除して絵で見ることができる、漫画版が一番良い。

 

無職転生の漫画版は極めて出来が悪いが、盾の勇者の漫画版は明らかに原作より出来が良い。

絵も上手いし、何よりヒロインの描写が巧みだ。

無駄を省く意味でも、タヌキ獣人ラフタリア(あとロリ鳥フィーロ)に萌える意味でも、コミックを読むのが良いだろう。

 

後半のぶっ飛んだ展開も悪くはないが、盾の悪魔が獣人奴隷に救われるハートフルストーリーが一番良い。