カテゴリ:少年漫画⇒Web漫画(ジャンプ⇒プレイボーイ)
ジャンル:超人プロレスバトル漫画
特徴:再開後のクオリティが別次元
開始から既に30年以上が経つ国民的漫画の一つであるが、最初は本当に酷かった。
内容はウルトラマンのパロディでしかなく、オナラで空を飛んで、スペシウム光線を撃っていた。
連載が進むとパロディ要素はなくなり、プロレス+ギャグ漫画として大成していったが、それでも設定は支離滅裂。
伏線や物語の整合性は一切なく、死人が簡単に生き返ったり、同一人物が同時に複数登場していたり、名前や顔が変わっていたり、どこから突っ込んでいいのかわからなかった。
特に超人強度という設定が意味不明であり、強さの尺度だったり、体力値だったり、わりとどうでもいい数値だったりする。
もっとも、この荒唐無稽さこそが、キン肉マンの魅力の一つなのだが。
そんなキン肉マンの連載が終了し、いまいち不評な続編の二世が始まって終わった後、どういうわけか本家キン肉マンが週刊プレイボーイで再開。
続編終了後に前作の新シリーズが始まった作品とか、初めて見たよ。
再開後のキン肉マンはもちろん画力が向上して、シナリオも遥かに練り込まれていた。
以前は山のようにあった矛盾も、ほとんどなくなっていた。
だが、それ以上にキャラの魅力と三つ巴のバトルに感動した。
ロビンマスクやラーメンマン、ウォーズマンなど、従来の正義超人が活躍するのはもちろん、敵役であった悪魔超人や完璧超人の魅力を余すことなく描き切る手腕は、かつてのキン肉マンでは絶対にあり得ないレベル。
ステカセキングがマッスルインフェルノを使ったり、ブラックホールがペンタゴンを召喚したシーンは、思わず目を疑った。
初代からそういう傾向はあったが、特にキン肉マンが絡まない試合が面白い。
新シリーズは三つの勢力が入り乱れ、「悪魔超人VS完璧超人」のように、最後までどちらが勝つかわからない試合が非常に多く、手に汗握る戦いが展開される。
中には想像もできないような結末を迎える試合もあり、誰が勝ち残るのか予想しながら読むのが非常に楽しい。
完璧超人編では正義超人と悪魔超人の始祖であるシルバーマン・ゴールドマン(悪魔将軍)が完璧超人であったことが明かされ、彼等を含む十人の完璧始祖を中心に物語が進む。
完璧始祖は、誰もが圧倒的な強さと強烈なキャラクター性を備えており、その主義主張も明確で美しい。
敵キャラのバックボーンがしっかりしている作品は、やはり良い。
過去作の設定を活かしつつも、次々と謎が明かされていく展開も見事。
超人の成り立ち、悪魔将軍の独立、兄弟対決の理由、キン肉族の陰謀、キン肉奥義の秘密など、驚愕の展開の数々で原作ファンを魅了していく。
本当に同じ作者が書いているのか疑問に思うほどだ。
初期のようなデタラメがなくなったのは少々寂しくもあり、主人公の出番も大幅に減ったが、現在のキン肉マンの完成度は漫画界全体でもトップクラスに高い。
連載初期から読み続けているファンとしては、喜ばしい限りである。
キン肉マン(41) [ ゆでたまご ]
|