二次元桃源郷(アニメ、漫画、ゲーム感想)

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STARGAZER ~星に願いを~ 評価A- 願いが叶えば人は幸せになれるのか?

カテゴリ:少年漫画(少年ガンガン)

ジャンル:SF漫画

特徴:正しい願い事はあまりにも少ない

 

エルナサーガで有名な堤抄子氏の作品。

ある意味エルサガ以上に心にグサグサ刺さるので注意。

 

「流れ星が落ちる前に願いを言うと、それが叶う」

という誰もが知っている迷信を現実にした漫画。

 

この漫画の流星は相手も内容も一切問わず、その人の願望を全て確実に叶えてしまう。

夢の叶った世界はどんなに素晴らしいかと思うだろうが、その結果は酷く残酷で、えげつないものである。

 

他人を支配したいと願った男は、カルト教団の独裁者になった。

誰よりも美しくありたいと思った女は、他人の生き血を吸う吸血鬼となり果てた。

恐怖に心を奪われた老人は、逃げるだけの鼠になった。

獲物を欲した食虫植物は、人間に幻影を見せて食い始めた。

人間に利用されてきた重機は、人を轢き殺すモンスターになった。

 

人も獣も無生物も、ありのままの欲望を叶えた者は皆異形の怪物となり、殺戮を繰り返す。

これはフィクションではあるが、現実に願いを叶えられたとしても、きっと同じ結果になっただろう。

 

大半の願いは身勝手な暴走を生むが、それだからこそ、時折生まれる正しい願いが尊い。

ある少女は父親の治療を願って、他人を癒す能力を手に入れる。

ペットの犬や猫は人間と遊びたいと願って、人間の姿を手に入れる。

正しく願えば、流星はそれに応じた結果をもたらしてくれるのだ。

 

異形の怪物とのバトル描写の秀逸。

状況に応じて願い、次々と進化していく主人公(トモキ)の隕石ターミナルがカッコいい。

星パンチ⇒星レーザー⇒星ブレード⇒星ブラスター

みたいにドンドン成長する武器は、流石に少年漫画。

 

かなり古い作品ではあるが、まどかマギカ以上に「願いと呪い」の本質を突いている。

無条件で願望を叶えたとしても、それが当人を幸せにするとは限らない。

むしろ分不相応な願いは、破滅をもたらすことのほうが多い。

 

流星に願う時は、くれぐれも注意しておきたいものだ。

 

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