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二次元桃源郷(アニメ、漫画、ゲームレビュー)

とにかく面白い作品の感想を書いています(ただし酷評)

ソマリと森の神様 評価A 悲しく優しい幻想世界譚 

漫画批評

カテゴリ:WEB漫画

ジャンル:異世界ファンタジー

著者:暮石ヤコ

特徴:世界観があまりにも美しすぎる

 


 

近年稀に見るほど丁寧に作られた漫画。

一つ一つのコマがイラストのごとく緻密に描かれており、登場人物の表情はもちろん、ティーカップ一つ一つでさえ心を込めて描かれているのがわかる。

キャラの大半は亜人種族であるが、多種多様な種族を書き分けつつ魅了する画力には、驚嘆せざるを得ない。

 

この世界では人間と亜人が過去に対立しており、戦争によって人間は絶滅の危機に瀕している。

既に愛玩動物や食料としか見なされない人間の少女を、親のように守り続けるゴーレムが本当に美しい。

ゴーレムは所詮ロボットでしかなく、表情どころか目も鼻も普段見えない。

それなのに子供を優しく見守り、そっと手を引く姿は、まさに理想の父親そのもの。

血縁の有無どころか同じ生物ですらないのに、なぜこんなに見事な親子関係が成立するのか? 

 

物語開始時点でゴーレムの残りの寿命は2年足らずであり、このままの関係が永遠に続くことはない。

人間も残り少なく、再興も他種族との和解も難しいだろう。

それでも、決して悪い方向には進まない気がするのが実に不思議だ。

 

自分を受け入れない残酷な世界でも笑顔を絶やさない少女と、最後まで娘に付き添おうとするゴーレム。

滅びゆく人間種族と、人間を迫害しつつも時に歩み寄ろうとする亜人種族。

二つの相容れない存在の行き着く先が、本当に気になってしょうがない。