著者:笠原真樹
カテゴリ:一般漫画(ヤングジャンプ)
ジャンル:戦争
特徴:タイムスリップ作品だが、一切甘えが無い
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「現代人が戦国時代に行って立身出世」という作品は非常に多い。
高校生が戦国大名になって天下統一を目指すという意味では「信長協奏曲」や「織田信奈の野望」などと同類と言えるが、読んで受ける印象はまるで違う。
群青戦記にはそれらの漫画のような甘えやご都合主義が殆どないからだ。
他の作品をイージーモードだとするなら、群青戦記はベリーハード、いやルナティックモードとでも定義すべきだろう。
本作の主人公達は強豪スポーツ攻の生徒であるため通常の高校生よりは遥かに優秀だが、それでも本当の武士には遠く及ばない。
いくら優秀な学生でも、将来性はともかく、いきなり戦後の世に放り出されて活躍できるわけがないのだ。
殺し合いに慣れていないため、序盤はいともたやすく殺害されていく。
未来の知識や便利な機器で無双するラノベ的展開に慣れていると、あまりの残酷さに衝撃を受けるだろう。
言語などに 細かい突っ込み所は結構あるが、 それでもこの作品の人物と世界観には説得力がある。
ファンタジーでないのは、戦国時代の武将も同じこと。
織田信長も羽柴秀吉も、黒田官兵衛も上杉謙信も、誰もが命を賭けて戦い、いつ死ぬかもわからない。
超人なんて、どこにもいないのだ。
戦争というのは常に死と隣合わせで、誰もが恐怖の中でもがいている。
チート能力を使って天下統一なんて、誰にもできやしない。
そんな当たり前で、多くの漫画や小説が忘れている事実をこの漫画は思い出させてくれる。