カテゴリ:一般漫画(中公コミックス)
ジャンル:歴史漫画
特徴:捏造だらけで全然歴史の勉強にならない
「世界の歴史」というタイトルから楽しんで歴史を学べる漫画だと思いがちだが、本作は歴史を殆ど無視している。
歴史上の人物(項羽、リンカーン、ミケランジェロ、ガンジー、ナポレオンなど)は登場するのだが、彼等は主人公ではない。
本作の主役は歴史に翻弄される一般庶民、つまり脇役である。
もちろん作者が勝手に作った人物であり、実在はしない。
エジプトではファラオではなく、ピラミッドを作った技師が主役。
フランス革命では処刑される王族ではなく、王様が泊まる宿の息子。
第二次世界大戦のドイツはヒトラーではなく、ナチスのいち将校。
はっきり言って、「誰だこいつ?」みたいなキャラが大半を占めている。
この話のオリジナルキャラや展開を史実だと思い込むと、後々恥をかくことになるので注意しよう。
本当の歴史を知りたい人は本編を読まず、巻末の説明文だけを読むといい。
何より極めつけは、物語全体の主役が地球を調査にきた宇宙人であること。
この宇宙人は「歴史に干渉してはならない」とは言っているものの、かなり好き放題なことをやっている。
異星の超技術を用いてクローン人間を作ったり、致命傷を治したり、異国へワープさせたり、人工心臓を補強したり、まさにやりたい放題である。
地球の歴史はエイリアンがコントロールしていたのか!?
流石は手塚先生。
歴史書まで壮大な妄想にしてしまうのは、創作の巨匠の宿命か。
子供が勘違いするといけないから、
「この作品はフィクションであり、実際の人物・団体とは関係ありません」
という注意書きを添えておくべきかもしれない。