テレビアニメ:planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
泣きゲーで有名なKeyだが、最も優れた作品はAirでもリトバスでもリライトでもなく、このプラネタリアンだろう。
劇場版の「星の人」を観て、ようやくこの作品の本当の意味と危険性が理解できたので、警告としてここに記す。
物語の舞台は戦争と環境破壊によって人類が滅亡しかけた未来。
星を見ることも夢を見ることもできなくなった世界で、屑屋はロボットである「ゆめみ」にプラネタリウムの星空を見せられる。(実際には見てないが)
劇場版では壊れたゆめみに替わり、屑屋は「星の人」になり、子供達に星と希望を与えていく。
なぜロボットが人に星空を見せるのか?
なぜそれを観ることで、私達は感動してしまうのか?
それは星こそが人間の夢であり、それを叶えるために作った道具がロボットだからだ。
私達人類の祖先はアフリカで誕生してから、ずっと未知を求めて生きてきた。
昼間は未開の土地に渡ってテリトリーを広げ、夜中は星に導かれて方角を知った。
いつか空へ近づくことを夢見て飛行機を作り、ようやくロケットによって星の海へ渡る手段を得た。
要するに、星とは私達の夢の集大成なのだ。
このことは同じKey作品である『Rewrite』でも「宇宙進出して恒星間文明を築く」という形で示されている。
ワンピースは海賊として海の向こうの国を目指し、異世界転生小説は誰も知らない異世界に渡るが、それも本質的には変わらない。
ヒトは常に新しい世界を求め、進化していくしかない。
未知の世界に進むために人間が発明したのが科学技術であり、その際たるものがロボット。
ゆめみとイエナはプラネタリウムで人間に星空を見せるが、それは元々人間自身が持っていた夢だ。
過去の人間がロボットに夢を伝え、そのロボットがまた私達に夢を伝えている。
ロボットは、人間のプログラムした通りにしか動かないから、それは製作者の願いを正確に伝えているだけだ。
だから、視聴者はゆめみの夢を見ているわけではない。
私達は機械を通じて、「かつての自分が見た夢」を見せられているのだ。
『R.U.R.U.R 〜ル・ル・ル・ル〜 このこのために、せめてきれいな星空を 』も本作同様ロボットに泣かされるゲームだが、やってることは同じ。
私達は人間であるが故に、人の現身であるアンドロイドに自分自身を見せられることになる。
そりゃ、効きすぎるぐらい効くに決まってるだろ。
昔の人→スタッフ→ゆめみ→屑屋→子供→・・・・・
星の夢はこうやって伝達し、どこまでも子孫に伝わっていく。
夢を伝える媒体としては、原始人もゆめみも屑屋も何も変わりはしない。
もっというなら、私やこれを読んでいるあなたにも同じことが言える。
誰かが夢を人に話せば、夢は他者に伝染し、未知なる世界に進む原動力になる。
このアニメやゲームが星の人だとしたら、それに触れた人もまた星の人になって、次に感染させてしまうのだ。
実に恐ろしい。
こんな危険な作品は即刻封印せねば・・・
ちなみにこの危ないアニメは、なぜかアマゾンプライムビデオにも登録されている。
もしかしたら、アマゾンのスタッフも既に感染してしまったのかもしれない。
「30日間のプライム無料体験」を使えば誰でも無料で観れてしまうので、絶対に観ないように。(ちなみに私は1ヶ月で抜けた)
うっかり5回ぐらい繰り返し観てしまったら、あなたも夢を伝える奇病にかかってしまうかもしれない。