アニメ「俺だけレベルアップな件」の出来が良かったのでゲーム版をプレイしてみたら、清々しいほどのタイトル詐欺だった。
アクションゲームとしてのクオリティは決して低くないどころか、相当に高水準。
国産のダンクロより操作性・オート性能は遥かに良く、原神をトレースした装備やガチャシステムも完成度は高い。
日本国内のソシャゲはIP頼りで中身スカスカのクソゲーが多いので、ガッツリやり込める本作はゲーマーにとっては素晴らしい出来と言ってもいい。
しかし、これはゲームとしては正しくても『俺だけレベルアップ』の題目に反しているのではないか?
本作の主人公水篠旬は原作通り謎のシステムを介して経験を積んでレベルアップしていくのだが、別にレベルが上がるのは彼だけではない。
ガチャで引いた仲間のハンターもガンガンレベルが上がっていくし、召喚した影も同様。
原神やスタレと同様に装備を掘って各ハンターに割り振るので、水篠だけが突出して強くなるわけではない。
むしろ、ガチャゲーらしく強いSSRキャラを凸って強化するため、主人公より他のハンターの方が強い状態になりやすい。
(特にエマのブレイクがクッソ強い)
仲間が強すぎて俺ツエーできねぇよ!
仲間の力も俺の力と考えて無双できれば爽快感が得られるが、相当な課金がなければそれは不可能。
なぜなら、本作の敵は相当に強く設定されているからだ。
開始直後のゲームでありながらバトルコンテンツは異常に充実していて、進む毎に敵モンスターはどんどん強化されてすぐに歯が立たなくなる。
原作では圧倒的な力で敵を打倒していた水篠がゴブリンや熊に殴り殺されるのは、プレイヤーの育成不足とはいえ原作のイメージを叩き壊すには十分だろう。
敵が強すぎて俺ツエーできねぇよ!
敵の攻撃が早すぎて回避できなかろうが、上から爆弾が降ってこようが、回避不能な竜巻が追いかけてこようが、主人公のイキリは原作通り。
「つまらない相手だな、消えろ!」
いや、ボコボコにされてるのはお前の方だからな!
自分より圧倒的に強い相手にイキって吹っ飛ばされ、身動き一つしない宝箱にすら同様にイキって斬りかかるシュールさには笑いを禁じ得ない。
ゲームにピッタリな原作にゲームとしては極めて正しいシステムを導入しただけで、どうしてこんな不協和音が完成するのだろうか?