カテゴリ:一般漫画
ジャンル:日常ギャグコメディ
著者:桑佳あさ(藤野 もやむ)
特徴:祖母の愛が偉大すぎる
|
88歳で死んだ婆さんが幼女に生まれ変わって、孫や園児を愛でる話。
「小学生がママでもいいですか?」によく似た設定だが、あちらは母親と子供。
こちらは祖母と孫。
母の愛は海より広いが、祖母の愛は海溝より深い。
より熟成した老女の愛情が読者の心に突き刺さる。
単にロリに萌える漫画、幼女に転生する漫画なら他にもある。
・うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない
・女子小学生はじめました
可愛い幼女が見たいだけならこれらで良いが、愛情の方向性は全く異なるものだ。
なにしろこの作品には男女の恋愛が皆無。
男性が少女を愛でるのではなく祖母が孫を見守る物語なので、恋愛に発展する要素が一切ない。
恋愛であれば略奪や打算もある程度生じうるが、祖母が孫にそのような意図を持つわけもなし。
年長者の包容力にただただ圧倒されるばかりだ。
6歳なのに!
最近の若者は「子供は両親が二人で育てるもの」と思い込んでいるが、それは大きな間違い。
人間が出産適齢期を過ぎても長生きするのは、孫の面倒を看るため。
子供には祖父母が必要なのだ。
驚いたのはこの作者が「まいんどりーむ」や「ナイトメアチルドレン」をガンガンWで連載していた藤野もやむ氏だったこと。
やけに郷愁を感じると思ったらそのせいか。
彼女の作風は20年以上前から何も変わっていない。
優しい世界と少女の透き通った瞳は、今も私の心を掴んで離さない。
私は婆さんの昔話ではなく、かつての自身の体験をそこに感じ取ったのだろう。
かつてガンガン系の漫画を読んでいた方はぜひこの作品を手に取ってもらいたい。
近年の派手な作品とは違う、深く確かな愛情を感じるはずだ。