カテゴリ:PCフリーゲーム
ジャンル:ポケモンRPG
特徴:何から何まで難しすぎる
外国人が作った同人ポケモンゲームの一つ。
システムや世界観がPokemon Rejuvenationに酷似しているため、同じ人物が作成していると思われる。
現在はEP15までリリースされており、おそらく全体の7割程度がプレイできる。
Rejuvenation同様ニューヨークのスラム街みたいな町から出発し、街中を歩いていても次々とポケモンバトルを挑まれる無法っぷり。
列車はテロで爆破されるし、海はヘドロでベトベターしか釣れないし、道路は度重なる地震で地割れだらけになっている。
どこの世紀末かって話だ。
こんな狂った世界を浄化して作り直すために戦う悪の組織の教信者どもは、ロケット団など比べ物にならないくらい切実かつ残酷な戦いを繰り広げている。
シナリオの陰鬱さは完全にRejuvenationと同等。
要するに、救いようがない。
ジムリーダーを倒してジムバッジをゲット
⇒敗れたジムリーダーは投身自殺
⇒橋の下が血しぶきで染まる
⇒ジムリーダーの娘が家出
⇒孤児院に無理矢理引き取られる
⇒孤児院で虐待され、電気拷問を受ける
⇒孤児院を襲撃して救出
⇒互いに殺し合う
原作でもワタルのカイリューが人間相手に破壊光線を撃っていたが、本作はカイリューが何人も湖に沈めたり、シャンデラが人の魂を焼き尽くしたり、ギルガルドを握って敵を斬殺したりする。
ポケモンバトルどころか、完全な殺し合いと化している。
流石銃の国アメリカは、日本とはレベルが違う。
ゲームとしての難易度は極めて高く、正直これより難しいポケモン作品を私は知らない。
特に、
・地形効果による有利不利
・5刻みでかかるレベルキャップ
・異様なほど難しいパズル
のせいで、子供では絶対にクリアできない難易度になっている。
地形効果は草原、炎、水中、暗闇、毒沼、霧、虹色など10以上存在し、特定の技が強化されたり、クリティカルになったり、属性が変化したり、多種多様な効果がある。
ジムリーダーは常に自分に有利なフィールドで戦うため、「炎技で草原を燃やす」などの方法で地形を変えないと、有利属性でも一方的に負けることが少なくない。
原作でも他人のポケモンはバッジレベルを超えると言うことを聞かなくなったが、本作とリジュは自分のポケモンでも命令を無視する。
しかもバッジ一枚につき上限が5ずつしか上がらないため、常に適正レベルでの戦いを強いられる。
「レベルを上げて殴ればいい」というRPGの基本が完全否定されている。
なお、レベルを下げる不思議な飴が販売されているため、調整はたやすい。
メガシンカは存在するが、現行Verでは使用できない。
しかし、敵は使ってくる。
ジムリーダーは常に6体常備しており、リジュと違って難易度選択がないため、必ず6体撃破する必要がある。
よって、ジムリーダー戦は、
・相手に有利なフィールド
・レベルは適正以下。ただし、相手はそれ以上でも問題ない
・メガシンカはなし。ただし、相手は使っても問題ない
という徹底的に不利な条件のバトルとなる。
市販のポケモンでは絶対に味わえない歯ごたえのあるバトルが楽しめるだろう。
正直ゲームは難しいほど楽しいので、この仕様に文句を言うつもりは毛頭ない。
問題は、ポケモンバトルよりもパズルのほうが遥かに難しいことだ。
本作は全てのジムにこれでもかと仕掛けが設置されており、いずれも原作よりずっと難易度が高い。
スライドパズル一つとっても回転させて方向を決めなければいけないため、相当な知性が要求される。
下手すると、育成より謎解きのほうが時間がかかるかもしれない。
特に難しかったのは、脱獄とチェス。
ケーシィでポケモンをテレポートさせ、プリンで看守を眠らせ、冷凍ビームと火炎放射で鉄格子を熱疲労させ、ロックブラストで監獄破り。
いったいどんな思考をしていたら、こんなおかしなゲームを思いつくのか。
そもそも何の罪があって、主人公は毎回牢屋に収監されているのか。
いや、ギャングに入って民家に押し入り、老婆からポケモンを強奪とかしたけれど。
チェスは駒を動かしてチェックメイトの形を作ればクリアとなるが、「ポーンを前進させてクィーンにチェンジ」といったアクションが必要になるため、チェスのルールを知らない人には攻略不能。
ポケモンをプレイしていたはずなのに、いつの間にか真剣にチェスに取り組む羽目になってる不思議。
死人が沢山出るハードボイルドなストーリーと不条理なまでに強いボス戦は個人的に歓迎したいところだが、流石にポケモンと全く関係のないミニゲームの連打はきつかった。
ポケモンバトルの経験はもちろん、英語の読解能力とパズルのセンスを備えた本当の上級者だけにお勧めする。