カテゴリ:一般漫画
ジャンル:グロテスクバトル漫画
特徴:壮絶な画力の無駄遣い
『覚悟のススメ』の姉妹作であり、人類が滅亡に瀕した世界で、かつてのヒーロー達が殺し合う。
画力はまさに超一流で、緻密かつ大迫力の戦い、いや死闘が繰り広げられる。
いかにすさまじい戦いか語るナレーションも含め、本当にとんでもないバトル。
青酸カリや焼夷弾で敵を殺害する姿は、本当に正義の味方なのか疑わしくなるが。
甲冑で戦っているのにサービスシーン多めなのは、編集の要求だろうか?
戦闘描写と地獄のような世界観は間違いなく最高峰なのだが、問題は主人公の内面がきちんと描けていないこと。
主人公の武士っぽい生き様はわかっても、その目的がよくわからないので、非常に感情移入しづらい。
いや、山口貴由漫画に共感しやすい作品なんか存在しないのだが。
この作品において人類は種の寿命に近づいており、誰もが遠からず到達者という知性のない化け物に変化してしまう。
要するに、この作品には一切救いがない。
この絶望の中、各ヒーローは偽りの救いを求めたり、自身の正義に殉じて対決するわけだが、どいつもこいつも脳筋なため、肉体言語で全て決着しようとする。
特に主人公が話を聞かず相手を殺害しようとするので、何のために戦っているのかわからなくなる。
おそらく零の意思としては、「偽りの救済ではなく、静かな滅びに殉じる」ことなのだと思われるが、結局それぞれのヒーローが我が道を進むため、うやむやになってしまう。
そもそも人類は知性のない化け物になるだけで、滅びない。
綺麗な終わり方をするには、設定が間違いすぎていたような気がする。
圧倒的な戦闘描写と、絶望的な世界観は見事と言う他ない。
しかし、あまりにもシナリオが酷すぎて、全てを台無しにしている。
本当にもったいない作品だ。