二次元桃源郷(アニメ、漫画、ゲーム感想)

作者に配慮した生温いレビューは要らん!駄作は駄作と言え!

終末のワルキューレ 評価A+ 勝敗の読めぬ神人バトル

カテゴリ:少年漫画

ジャンル:ファンタジーバトル漫画

特徴:どちらが勝つかわからないから面白い

 


 

人類の存亡を賭けて神と人がタイマン勝負する漫画。

近年稀に見るほど熱く、バトル漫画の基本を完全に抑えた作りになっている。

 

バトル漫画が面白くなる条件

 

①勝敗が予想できないこと

②強さに説得力があること

③戦いに大義があること

④既知を利用しながら独創性があること

⑤単純な力押しでなく工夫が見られること

⑥双方の格を落とさないこと

 

本作はFate女神転生と同様、有名な神様や英雄を召喚して戦うタイプ。

ゼウス、トール、呂布佐々木小次郎など、誰でも知っているキャラが登場するため前知識は必要ない。

むしろなんでこんな奴が戦うの?ってキャラがいるせいで、先の展開に興味を惹かれる。

 

<人類サイド>
アダム
レオニダス王
始皇帝
呂布奉先
坂田金時
ミシェル・ノストラダムス
佐々木小次郎
雷電為右エ門
ジャック・ザ・リッパー
沖田総司
ニコラ・テスラ
グレゴリー・ラスプーチン
シモ・ヘイへ

 

<神サイド>
ゼウス
釈迦
ロキ
アポロン
ポセイドン
スサノヲノミコト
ヘラクレス
トール
毘沙門天
アヌビス
オーディン
ベルゼブブ
シヴァ

 

呂布や沖田はともかく、なんでアダムニコラテスラが戦うねん。

誰もが知る英雄を使いながら、それに新しい能力を付与することで独創的な戦闘を作り出している。

神話や伝説をベースに、それを凌駕する新設定を盛り込む手腕は見事。

 

キン肉マンワンパンマンをご存じの方は感じているかもしれないが、「主人公の戦い」より「脇役同士の戦い」のほうが存外燃えることが多い。

確実にヒーローが勝つ勝負よりも、どちらが勝ってもおかしくない戦いの方が考える余地があるからだ。

本作のマッチングはその場で決まるので、誰が誰と戦って、誰が勝つのか全くわからない。

主人公が存在しないが故に、これは世界一面白いバトル漫画になった。

 

そして個人的に嬉しいのはかませ犬がいないこと。

(試合前のいざこざは除く)

多くのバトル漫画(バキとか)はキャラの強さを際立たせるために対戦相手を瞬殺したり、一方的にボコって格を落としてしまう。

一方を持ち上げるために他方を下げるのは、どちらも下げているのと同じ。

 

本作は全てのキャラを持ち上げることに腐心しており、たとえ負けても全力を出し切って戦わせることで魅力的なキャラとして描き切っている。

神が人に負けたら神としてのプライドを傷つけかねないが、そこに「戦乙女の神器」という神の力でハンデを設けることで上手くバランスを取るように調整されている。

どちらが勝ったとしても、弱者のレッテルを貼られることはない。

 

神は強い。

人間も強い。

強者と強者の戦いこそが至高。