TIGER & BUNNY 評価B+
カテゴリ:アニメ
ジャンル:ヒーローアクション
特徴:商業広告と年齢による衰えを伴った妙に現実的なヒーローバトル
劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising- 【通常版】【Blu-ray】 [ 平田広明 ]
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NHKの投票でタイバニが1,2位を独占していたが、3位の「魔法少女まどか☆マギカ」や7位の「コードギアス」を凌ぐ人気作品かは疑問。
そもそも劇場版と通常が別々にランクインすること自体が変。
明らかに組織票の影響はあるだろう。
ランキングなどというのは母数次第でどうにでも変わるので、順位を気にするのは無意味なのかもしれない。
しかしながらタイバニが駄作かというとそんなことはなく、今まで観た中でもわりと面白いアニメであるのも確か。
特に他のアニメには見られない2つの要素を持った挑戦的な作品だったと記憶している。
特徴の一つは、アニメ内に企業の宣伝が含まれていること。
テレビアニメは映像の合間にCMを入れてスポンサーの商品やサービスを周知するが、タイバニは直接アニメ映像に企業名をブチ込んでいる。
・ワイルドタイガー…SoftBank、S.H.Figuarts、ロッテ、(FamilyMart)
・バーナビー・ブルックス・Jr.…BANDAI、amazon、クルセイド
・ゴールデンライアン…BANPRESTO、TANITA、DARTSLIVE
・ブルーローズ…pepsi(テレビ版ではpepsi NEX)
・ロックバイソン…すき家、日清 太麺堂々、(牛角)
・ドラゴンキッド…Calbee、DAM、(DMM.com)
・ファイヤーエンブレム…ドミノ・ピザ、animate、(FMV)
・スカイハイ…USTREAM、TAMASHII NATIONS、MOVIX、T・JOY
・折紙サイクロン…ナンジャタウン、DMM.com、大江戸温泉物語、BVC
ヒーローがソフトバンクや牛角の名前の入ったスーツを着て戦うのは、実にシュール。
実際の宣伝効果がどれほどあったかはわからないが、アニメの収益化の手段としては非常に面白い試みだった。
(後に「ばくおん」が二輪車メーカーの宣伝をアニメ内で行っている)
もう一つの特徴は、主人公が衰退期に差し掛かった中年であること。
日本の漫画のヒーローは成長期の少年であることが多く、強敵と戦いながらどんどん強くなっていく傾向がある。
しかし、本作の主人公である鏑木・T・虎徹は大きな娘までいる中年である。
能力が「5分間しかもたない身体強化」という欠陥品の上、老化によって段々持続時間も低下していく。
しかも頭も良くなければ、かなり不器用な方であるため、余計な破壊活動をしてスポンサーや上司に叱られることも多い。
初期の頃はヒーローというより、会社によくいるうだつの上がらない社員みたいな印象が強かった。
そんなダメヒーローの虎徹がバーナビーと出会ってトップヒーローまで登りつめ、その上で自身の衰えと向き合っていく。
こういったサラリーマンに共感できるストーリー展開は、他のアニメではまず見られないだろう。
若々しくて単純な英雄像が蔓延るアニメ業界で、大人の事情と現実的な視点を備えた作品は非常に少ない。
全アニメのトップに相応しい作品とまでは思わないけれど、多くの青年ファン(と腐女子)に支持されるのは理解できる気がする。