カテゴリ:PCフリーゲーム
ジャンル:ループ系シミュレーションRPG
「この世界がゲームだと俺だけが知っている」など、ひねくれたライトノベルで有名なウスパー氏の作品。(誉め言葉)
いわゆる「なろう小説」のテンプレと「ファイヤーエムブレム」などのSRPGのシステムを組み合わせることで、どこかで見たようで新しいプレイ感を作り出している。
なろう小説で人気の要素と言えば、
・無限ループ(死んだらタイプスリップして復活)
・美少女ハーレム(異世界の美女にモテモテ)
・チートスキルで無双
本作はこれを戦争ゲームに盛り込んでおり、プレイヤーは何度も何度も死に戻りを繰り返しながら、美少女達と交流を深めていく。
これだけならシュタインズ・ゲートやクロスチャンネルのような無限ループゲームと変わるところはないが、本作が優れているのはループと戦闘システムが上手くかみ合っていること。
FEのような戦争ゲームであれば敵と味方の戦力はある程度釣り合っているが、本作はアンバランスにもほどがある、というほど偏っている。
初期状態だと主人公の武器は3回しかまともに使えないため、敵を2体も倒せばもう無力。
敵戦力は常にこちらの数倍あるため、まともにやると絶対に負ける。
普通のゲームのつもりでプレイすると、まず確実にクソゲーと言って投げ捨てるだろう。
しかし、このゲームには気が付くと極端に楽になる要素と、無限に生き返る能力がある。
どんな絶望的なステージであってもよく調べて考えれば必ず突破することができる。
また、仮に答えを見つけられなくても、100回ぐらい死に戻って鍛えれば、力業で突破することが可能。
千回周回して強化アイテムを集めれば、いつか貴方は「異世界スマホ」や「転生したらスライムだった件」のようなチート主人公になっているだろう。
もちろん、それまではナツキ・スバルのようにひたすら惨殺されることになるが。
なろう小説の中には主人公が無双するだけのつまらない作品も多いが、本作のシナリオは伏線もしっかりしており、読みごたえがある。
ヒロインの巫女も最初から好感度マックスのチョロインでありながら、常に自殺用の小刀を持っている(理由は作品内で見てほしい)など、筋の通る人格や行動を備えている。
大味で崩れまくったゲームバランス。
なろう小説特有のご都合主義。
簡単に落ちてしまうチョロいヒロイン。
本来であればマイナスになる要素がこのゲームの最大の魅力になっているのだから、驚くほかない。