カテゴリ:なろう小説⇒漫画
ジャンル:VR MMORPG風冒険活劇
特徴:ゲームの仕様を逆手に取った邪道な攻略法が面白い
ソードアートオンラインやログホライズン、オーバーロードなどと同じ「ゲームの中に入ってしまった」少年による異世界冒険もの。
同種の作品は数多くあるが、ここまで奇策に特化した作品は存在しない。
主人公の相良操麻は『NewCommunicate Online』(通称『猫耳猫オフライン』)の熱狂的なプレイヤーであるが、このゲームは膨大なバグと悪意の詰まった仕様に満ちた作品であり、まともにクリアするのはほぼ不可能な難易度になっている。
特にそのバグは古今東西のゲームのバグ情報をかき集めたような状態になっており、敵の群れに極端に強い怪物が混じっていたり、攻撃技が敵を回復させたり、イエロースライムが無限増殖して世界を覆い尽くしたりする。
まさに悪夢のようなゲームだが、現実にそういったクソゲーほど愛好家が多いのは事実。
まともにやっても攻略できないので、操麻はバグや設定ミスを逆手にとって、常人の予想も付かない方法でレベルを上げ、次々とクエストを攻略していく。
・攻撃すると敵が回復する⇒味方の回復手段にしよう
・ダンジョンの松明が壊れない⇒しこたま殴って武器熟練度を稼ごう
・教会では暴力禁止⇒壁に体当たりし続ければ、スキルの練習になるよ
・倒したモンスターがなかなか消えない⇒死ぬ前に連打してクリティカルボーナス
彼の行動は人間としては卑怯極まりないが、誰にも批判はできないだろう。
だって、
現実のゲーマーは皆やってるじゃないか。
それでも、この作品における攻略方法は見事すぎる。
圧倒的な情報力とテクニックで格上をものともせず撃破する「奇剣使い」操麻は、ログホライズンのシロエを遥かに凌ぐ策士である。
まさか武器の一つも使わずに魔王を討伐する作品があるとは思わんかった。
世の中の異世界冒険譚は数多くあるが、安易な奇跡や友情パワーに頼る行き過ぎたご都合主義が蔓延しすぎていないだろうか?
本作もご都合主義(特に女性キャラ関係)はあるものの、戦闘においては徹底した解説と現実路線を貫いており、一切正攻法を使わない邪道っぷりは逆に清々しささえ感じた。
説得力ってのは、本当に大事だ。
ゲームとは、スタッフとプレイヤーの仁義なき争いである。
猫耳猫オフラインが実在していたら、ぜひともプレイしてみたいと思う。
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