二次元桃源郷(アニメ、漫画、ゲーム感想)

作者に配慮した生温いレビューは要らん!駄作は駄作と言え!

村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない 評価A+ ニートの人生を変える一冊

これこそまさにニートの必読書

全ての無職に読んでほしい。

 


 

ニート異世界風ゲームの神になる漫画。

一見するとなろう系の異世界転生・転移ものに見えるが、その内容はまるで違う。

例えるなら、

 

異世界転生→ドラクエ

本作→シムシティ

 

ぐらい違う。

 

ニートの良夫はゲームの世界に入るのではなく、あくまでプレイヤーとして村人NPCを支援することになる。

キャラに直接触れることも話すこともなく、聖書のお告げと僅かな奇跡で村人を導くことになる。

要するにゲームをやってるだけ。

 

単なるゲームがなぜこんなに面白いのか?

それは課金システムで良夫が身銭を切っているからだ。

大抵のファンタジー漫画はMPの消費だけでバンバン魔法を使うが、この主人公は村人の信仰心と現金を対価にしなければ奇跡を起こせない。

大きな支援をしたければ、自身が集めたグッズを売って軍資金を調達するしかない。

 

「ゲームに課金なんてアホじゃね?」

と思うだろうが、競争に勝って自尊心を満たすために行うソシャゲの課金とはまるで違う。

この主人公はゲームの住人を生身の人間と考え、彼らを助けようとしている。

社会との繋がりを絶ったニートが忘れてしまった、他者への貢献を取り戻そうとしているのだ。

 

しかも特筆すべきことに、このゲームは返報性を持つ。

神の起こした奇跡に感謝した村人達は果物や肉類、時に丸太を現実世界に送り付けてくる。

どういう仕組みになっているのか気になるが、ゲーム会社の小細工でも異世界が実在するでもどちらでもいい。

大事なのは、一方通行でないことだ。

 

仕事とは、自己犠牲から始まる。

まず自らの時間や労働力、資金を投資して他人の役に立つ。

それが成果を出して周囲に認められれば、与えた以上のものが返ってくる。

さらに得たものは家族にも伝わり、好循環の輪がどんどん広がっていく。

そのメカニズムが、ゲームを通じて表現されているのだ。

 

ニートはゲームを好むが、それはあくまで一方通行の自己満足でしかない。

そこには努力や工夫はあっても、他者への貢献は存在しない。

だからどんなに熱意を注いでも、何も返ってこない。

どこまでも空虚な道が続いているだけなのだ。

 

残念ながら、この漫画は毎日バリバリ働いて充実した人生を送っている人に対しては全く価値がない。

対象になるのは就職を諦め、ゲームとアニメに逃避した無職。

会社に勤めながらも、何のために働いているのかわからなくなったサラリーマン。

そういった人々はぜひこの本を読んで、仕事の意義を思い出してほしい。