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<あらすじ>
北斗の拳の敵役アミバはケンシロウに敗れて死亡したが、なぜか見知らぬ世界で再び蘇る。(転生した理由は全くの謎)
魔法やモンスターが存在する異世界に感動したアミバは、いつかケンシロウを超える力を得ることを夢見て冒険と修業に打ち込むのだった。
北斗の拳のスピンオフの中でも最もぶっ飛んだ漫画。
既存のキャラを異世界に転生させる漫画やラノベは多数あるが、これほど主人公選びに成功した作品は他にないだろう。
北斗のキャラと言えば真っ先に思い浮かぶのは主役のケンシロウ、あるいは最強の敵であるラオウあたりだろう。
だが、彼らを異世界に転生させた場合、エンタメとしては失敗する可能性が高い。
というのも、彼らは真面目すぎたり、異世界魔法のような異物に上手く馴染めないからだ。
無理にギャグなどやらせようものなら、DD北斗の拳のようなキャラ崩壊を引き起こすのは目に見えている。
・ラオウ→容赦がなさすぎて話の起伏が生まれない
・トキ→堅物すぎて笑いが取れない
・ジャギ→ケンシロウのいない世界に興味はない
・サウザー→イチゴ味と被る
そこで白羽の矢が当たったのが、このアミバ。
彼は北斗神拳と南斗聖拳の両方を扱える、作中でも珍しいキャラ。
さらに様々な流派を渡り歩き、新たな技術を習得しようと躍起になっているので、異世界の魔法を学ぶ際にも全く違和感がない。
実際にリンのそっくりさんや魔法学校の仲間から魔法を学ぶことになるが、アミバ以外のキャラではこのように話を広げていくのは難しかっただろう。
さらに主人公としての適性と言えるのが、彼のアホさ。
「俺は天才だ!!」「俺に不可能はない!!」などと言い張って貪欲に戦闘や学習に取り組む姿勢のおかげで、スイスイ話が進んでいく。
普通なら横暴さが鼻につくような展開も、アミバ自体が底なしのバカなので全く不快感がない。
平均年齢高めな北斗において、少年の心を持った彼ほど異世界冒険に適した人物はいなかったろう。
なお、この作品は一応異世界ものではあるものの、登場する人物は北斗のパロディばかりになっている。
・火炎魔導士オブツワショードク
・近衛兵士フウガン&ライガン
・天才軍師リハーク
・凶悪死刑囚デビルリバーシブル
普通の異世界転移ものであれば現地人に主役を称賛させたり、現地のモンスターを虐待するマウンティングが横行しがちだが、この作品の人物はほぼ北斗キャラ同士の掛け合いになってるのでそういった事態にはなりにくい。
むしろ原作のネタをこれでもかとぶち込んで笑わせてくれるので、北斗の拳のファンにもお勧めできる。
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